好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 関わってみたい。

 そうした欲求が生じることに、無論、彼は驚いていた。

 心変わりを決して嫌悪しているわけではないが、そうした自分を受け入れるには時間がかかる。

 それよりも、彼女が諦めてしまうことのほうが先ではないか、むしろ、そのほうが望ましいと彼は感じていた。

 彼女はまだ若い、といっても、二十代女性の時間は、貴重だ。結婚相手を見定める時間でもある。その貴重な時間を、果たして報われぬ恋に費やさせていいものかと、彼は責任も感じていたのだ。

 手っ取り早く諦めさせる方法があれば、と思っていたが、自分のなかに生じる、諦めの悪さとも向き合った結果、彼は葛藤していた。

 彼の構築したコミュニケーション手段を脅かすほどに、彼女の存在は、彼を侵略していた。

 そして、それはその後の彼の在り方を左右するようになる。

 彼自身の気づかないところで。

 *
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