好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!

act29. マイベスト・フレンズ・ウェディング

 結婚式に呼ばれると決まって張り切って美容室にヘアセットを予約してしまうのはいったい何故だろう。


 自分が主役でもないのに。主役は、あくまでも新郎新婦だ。

 なのに、競いあうようにめかしこむ出席者の女性たちを、ときどき彼女は疑問に思う。

 まあ、……


「お洒落をする機会が欲しいんだろうなぁ」


 お洒落とはすなわち自己主張。自分が綺麗だって、誰かに認めて貰いたいんだ。

 同時に、その場にふさわしい格好をするのが、社会人としてのルールでもある。

 義務と演技。

 その割合は自分の中でどんなものだろう……。


 唇に口紅を引き、鏡のなかの彼女は頷いて見せた。

 指毛も、きちんとシェービングした。

 腕時計を見る。

 約束の時間まであと三分。

 化粧直しをしていると時間が経つのがべらぼうに早く感じる。

「あ。やっば……」

 声に出し、彼女は、結婚式に呼ばれたに違いない女性たちでひしめく化粧室をあとにした。


 友人は、ベージュのパンツスーツ姿だった。

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