好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 知奈と彼女はいつも一緒だった。

 だから。彼女は、啓太や知奈に『近すぎる』友人たちとの接触を恐れた。


 啓太と知奈とも適度な距離感を保つ竹田薫と接するほうが、身構えずに済む。それは、自分が。


 啓太や知奈に対していまだ恨みがましい気持ちを抱いていないか、会ってみないと確認が取れないからだった。

 自信のなさでもあった。

 胸に手を当てて、自分は二人をこころの底から祝福できるか。啓太や知奈に親しい人間に接することでそれが揺るぐのではないか。

 怖かったのだ。


「正直言うとね、ちょっと勇気が要った……

 周りにどんなふうに思われるかって不安があったし」

 だから。彼女は。

 竹田薫が現れたときに、『そのこと』に対する質問を一言だけで済ませたことに、こころのなかで感謝をした。

 全く話題に上らないのも奇妙だし、かといってオーバーリアクションされるのも勘弁願いたい。

「うん」と頷いて竹田はコーヒーを飲む。
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