好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
「ある、ある」彼女は、うっすら涙を滲ませながら深く深く頷いた。「好きすぎてほかのことどおでもよくなる」

「でもそれじゃ、駄目なんだよね」喫煙者なら煙草をふかす場面だろう。竹田薫は煙草を吸わない。「うちら、十代の女の子じゃないんだし。そういう重たい恋の仕方はしちゃいけないっつうか……、無鉄砲じゃいらんないよね。ちゃんと自分のことも大事にしないと」

 彼女には、竹田薫の言う意味がよく分かった。

 十代の頃に蒔田一臣と出会っていたら、もっと無茶なアプローチを仕掛けてただろう。

 その場合、撃沈、してたろうが。

「自分のことも大切にするっていうことが、相手のことを大切にすることに繋がるんだよね。……あでも薫」彼女は、ひとつ気がついたことを口にした。「蒔田樹、既婚者で子どももいるよ。……切ないね」

「うん。まあでも現実的にどうのこうのって感じじゃなくって、ただ純粋に追っかけたいってだけだから。そこは割り切ってる」

「それでも……、切ないね」彼女は、自分が片想いする心境と友人のそれを重ねあわせた。

「うん。けどさ。出会わなくて幸せよりも、出会ったいまのほうが幸せ」
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