好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 彼女は、伯母帰国の知らせを聞いたときに、あるひとつの決意を固めていた。


 * * *

「え。榎原さんの伯母さんがアメリカ住まいなんすか」

 うどんをすすりながら道林ミカが髪を耳にかける。

 二つのことを同時に行う。器用なものだ、と彼女は思う。女性は特に器用なものだと。

 彼女はできないけど聞くふりをしながら全然別のことを考えたりできるのだから。

「うん。伯母さんの家に行ったことはないんだけどね。というより伯母さんが帰国する回数のほうが多いから。なんかかんやってしょっちゅう帰ってくる。娘たちの手が離れて、ヒマなんだってさ」
「英語喋れんすか? すごぉい」
「あたしじゃなくって伯母がね」
「へー。……向こう住むとやっぱなんか違う雰囲気になるんすか、日本人ぽくない感じになります?」
「ぜんぜん変わらない。三越好きなただのおばちゃんだよ」榎原がそう言うと、道林は歯を見せて笑った。「ああ、そうそうこないだ、結婚式出たら偶然蒔田さんに会ったんだ」
 うどんの汁まで飲み干した道林は、含み笑いとともに彼女に尋ねる。「へえ。なんか進展あったんすか」
「ううん。全然」
「じれったいっすねー」
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