好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
「でもですね」と伯母は茶を一口飲む。「好き好き好きて想いをぶつけるだけが女のすることやないのですよ。あんった、……自分のしでかしたことがどれだけそのひとに負担をかけとんのか迷惑をかけとんのか考えたことあるん?」


 ないです。


 情けないことに、それが彼女の答えだった。

 蒔田の立場になって考えること。

 そんなこと、一度もなかった。

 先日、友人と、十代の一方的な片想いといまの恋の違いを語り合ったはずなのに、あれがすごく昔の出来事に感じられる。

 テーブルに置いた手が随分重たかった。これは、現実なのか?

 これが現実。

 言葉を失った彼女に、伯母は畳み掛ける。

「ないんやったら、それは、本当に相手のことを『好き』なんかと違います。自分の気持ちに酔っておるだけです」

 伯母は正しい。

 正しすぎて、彼女は、思考を放棄したくなった。


 現実から、逃げ出したくなった。


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