好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 父は、優しかった。だが母親にはなれない。抱きしめてくることなどなく言葉で優しく諭してくれる、あたたかい父親だった。

 父もこのような孤独に黙って耐えたに違いない。


 自分が間違ったことをしたときに。


 誰かを傷つけたときに。


 母は、自ら去った。

 自分がそれ以上傷つかないために、娘をこれ以上傷つけないために。

 蒔田のことを考えてみる。彼は。


『きみのことは部下としてしか見られない』

 彼は既に、自らの意志を表明している。仕事に私情は持ち込めないと。

 そしてそんな彼が、自ら去るとは考えにくい。ならば彼女のとるべき行動は、


 決まっていた。


 * * *


「なーんか紘花ちゃん、久しぶりじゃない。どうよ、元気?」
「ええ、元気です……宗方さん、よかったらどうぞ」
「おおサンキュ。気が利くねぇ」
「いいえ……」


 彼女の所属する第三事業部の面々は飲み会好きだ。

 なんせ部長である宗方が飲み会好きなのだ。典型的な体育会系。お酒は飲むのも飲まれるのも好き。その恩恵に彼女はあやかってきた。

 そしてこんなときも、このチャンスにあやかることにする。
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