好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 そう思い、彼女は決意を言葉にして放った。


「いままで言ったこと全部忘れてください。


 好きって言ったこととか全部全部――」


 鉄仮面。無表情。トーテムポール。


「あたしは、蒔田さんのことを忘れます。もう、仕事に私情は持ち込みません。


 だから蒔田さんも……


 忘れてください、あたしのことを」


 最後の台詞を言うときは涙が出そうだった。

 それでも蒔田は、顔色を変えない。なにを考えているのか掴めない、無表情を貫いている。

 そのことが彼女の胸を痛めた。

 まるで一人相撲だったと。

 決して蒔田の感情を揺さぶることのない存在で、単なる迷惑な他人に過ぎなかったのだと悟った。

 一方的に彼女が喋っていたが、一言だけ蒔田が返す。


「分かった」


 それを聞いたときに、こみあげるものがあった。

 仮に蒔田が彼女のことを好きならば、そんな反応などしないだろう。

 期待していたつもりはなかったが、こころのどこかでまだ希望を捨てきれていなかったことを、彼女は自覚した。


 蒔田は、彼女に関心がない。

 
 絶望的な結末だった。
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