好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
「まあ、期待してるよ!」ぱん、と背中を叩いてまた別の社員に声をかける。部長という仕事は大変だ。飲み会のたんびに、滅多に会わない客先常駐の部員に声をかけて回る。おう元気か。久しぶりかなど。
 どういうわけだか、彼女は宗方部長に気に入られ、こういう会のたびに真っ先に声をかけられる。部屋の隅で静かにウーロンハイを作り続ける健気さが目を引いたのか。
 別に気を引くためではない。
 あれは部長ではなく、蒔田のためであった。

 その蒔田の姿が見当たらない。いつも一緒の道林は久々に会う同期と話が弾んでいるようだし彼女はとりあえず、お手洗いに行くことにした。

 * * *

「そうなんす。で、蒔田さんなら分かるかと思って。こういうこと」

 お手洗いを出ようとしたらそんな声が飛び込んできた。

 咄嗟に壁の影に身を隠す。一色の声だ。新人の頃何十回と彼女のところに質問に来た。

「そいつはおまえの目から見て見込みがありそうなのか」
「ありますっ。だから悩んでるんです」
「そうか。まあ、焦るな。すぐに結果が出るというものでもない。待つことだ」
「待つんすか」
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