好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 ストーカー被害から守ってくれた。

 父に会って恋人のふりをしてくれた。

 父に会うときなんて、いつからつき合ったことにするなんて聞いて、ノリノリだったし。


『嘘をつくなら最後まで突き通すことだ。ときとして、優しい嘘は残酷だがな』


「もったいつけた行動を取らない、すごく誠実なひとかもしんないし」


『悪かったな。死ななそうなキャラで』

 社食で偶然会ったときに、毒づいた。

 毒づいても、すっごくかっこよかった。

 見惚れるくらいにすごく。


「殺されたら普通に死ぬような凡人キャラ。それがいい、それがいい」


「榎原さん」道林が、榎原に手を重ね、止めに入った。


「ぶっちゃけ泣きそうな顔してますよ」


「でも仕方ないんだもん。あんなひと、ほかにいないし、彼はあたしのことなんか見てないんだもん!」語尾が、叫び声に近かった。

 首を振り、目元を押さえた。周りにどう見られているかなんて、この際どうでもよかった。


(なるようになるいつかきっと、忘れられる)


 こみあげるものを堪え、彼女は、そう願った。

 *
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