好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 階段のしたに蒔田が居る。近くで見ると、その表情は、真剣というよりも悲愴に近い。なにをそんなに焦っているのか。

 彼と彼女の距離は十メートル弱。

「よかっ、た……間に合った」蒔田が、肩で大きく息をする。本気で急いで走ってきたようだ。スポーツが得意そうな蒔田にしてはものすごく疲弊した様相。

 いったいどうしたというのか。

「どうしたんですか、蒔田さん。こんなところで……」

「……今朝、行くって、聞いて……それで、」息も絶え絶えだ。「慌てて、……走って、来た」

「それは見れば分かりますけど」むしろ彼女のほうが冷静だ。「いったいどうしたんですか」

「ほかの、……男のところになんか、嫁ぐな。おれはおまえを


 愛している」


 ――?


 聞き違えだろうか。


 いま、蒔田が『愛している』って言ったような……。


「蒔田さん。ここ日本ですよ。ドーユースピークイングリッシュ? 大丈夫ですか。アーユーオールライト?」


「からかってなどない。本気だ」

「え。え。え。だって、

 なん、で……」

 その真摯な表情に。

 たまらず両頬を押さえてしまう。
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