好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 頬が、緩んでしまう。


「――」

「最初会ったときは、変なやつだと思った。ストッキングで階段のぼるやつなんて初めて見た。変人だと思った。

 告白されたときは、びっくりした。まじで驚いた。気を持たせた行動を取っていたのかと反省した。

 でもそれ以上に、意識して、止めらんなくなった。


 おまえが隣にいるとここちよかった。


 信頼して話せるやつだと思ったし自分が自然でいられた。

 声きくとなんかほっとしたし、癒やされた。

 だからいなくなったとき『忘れてください』って言われたとき。


 遅まきながら、気づいた。


 おれは、おまえなしじゃ、生きられない」


「蒔田、さ――」

「おいで」


 青い傘が宙を舞う。

 赤いバッグが段を滑り落ち、

 冷たい雨が二人に降り注ぐ。


 階段の途中で白と黒のシルエットが重なる。そして。


 寒い、一月の真冬の気候。

 互いの温もりを確かめ合う。

 気持ちも、同時に。


「好きで、す、蒔田さん……」


 涙ながらに顔をあげれば、愛しい、愛しいひとの顔が間近にある。

 愛しいひとは、彼女の顎をひと撫でして笑った。

「おれも」


 *
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