好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 孤独なのに。

 類似した感覚を共有できたとてまったく同じ痛みなど分かり合うことなどできないのに。

 でも、あたたかい。生身の蒔田がそこには居る。着実に確実に存在している。

 触れる素肌がびりびりと痛いほどだ。蒔田は、彼女の手を持ち、自分の胸にそっと添える。

「すごく――どきどきしてますね」と彼女は微笑む。

「実を言うと緊張している」

「蒔田さんでも緊張することなんてあるんですね」

「おまえはおれをサイボーグかなにかだと勘違いしていないか」

「サイボーグじゃ人間を愛せません。


 抱いて、一臣」


 その言葉で火がついたようだった。再びめくるめく炎のうずに投じられる。

 目の前が、見えなくなる。聞こえなくなる。ただ感覚だけが鋭敏で。

 一度触られた場所が再び触られれば細胞が喜びだす。感覚の再生。そして鼓動。耳の奥の息遣いが響く。

 蒔田の声も聞こえる。その息遣いも。人間は獰猛で、野性的な生物だ。

 真に愛する誰かを見つけたときに、狂いそうになる。

 その激しい情欲を刻みつけていた。彼女は叫びそしてわななく。
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