好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 どうしてこんな黙々と食欲は進む。テレビを点ける気にもなれない。邪魔な存在だ。限られたこのときを、蒔田と共有していたい。音も要らない。

 互いの咀嚼音だけで十分だ。

 蒔田が、麦茶を飲む。喉仏が鳴る。生きていることがリアルな限定だ。

 外の、嵐のようだった雨は落ち着いたよう。凪いだ海のように静かだ。


「蒔田さんあたし……」

「うん」とまぐろの寿司を食う蒔田が答える。

「なんでもないです。あまりにも静かだから、なんとなく、呼びたくなっただけで……」

「沈黙は重たいか」

「でもないです。あたし、静かなのも案外好きです……」

「奇遇だな。とても気が合う」

「合いすぎます……」なんでこんな自然体でいられるのだろう。それでいて胸の奥がときめく。

 どくどくと、血脈が息づく。生きていることの証拠。

 お酒も、煙草も、要らない。

 蒔田が居れば、それだけでいい。

 食べ終えた彼女は、空の容器を持って立とうとしたところを、後ろから腰を抱かれた。

「やだ、もう子どもみたい」
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