好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!

act37. 継続する限定的な幸せ

 どんなときでも必ず朝は来る。


 どんなに悲しい夜にも、必ず明ける日が来る。


 泣きはらした日々にも、終わりが訪れる。


 けだるい月曜の朝。

 彼女は髪をかきあげ、鏡のなかの自分の顔色を確認した。悪くない。


 あんなに愛されて、幸せでないはずがない。


 ぽっ、と顔が赤くなる。朝からなにを破廉恥な。


 蒔田とは勤務地が別々。

 でも互いの連絡先は知っている。週末、一緒に長野の実家に帰るつもりだ。

 最初は勿論、彼女ひとりで帰るつもりだった。それが。


『駄目だ。おれも行く』の一点張りだった。


『きみが見合いを辞めたのはおれのせいだ。おれがきみを引き止めた。そのせいできみがお父さんに頭を下げるんならおれも頭を下げるべきだろ』

 でもそんな……。大げさにしたくないとかいろいろ彼女は反論したが、ちっとも蒔田は引き下がらなかった。


 正直、嬉しかった。


 でもことが大きくなるのではないかと不安もある。妙齢の男女が二人。女性の親に二人で会いに行くのがどういう意味を伴うのかを蒔田は分かっているのか。

 分かって、言っているのだろう。

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