好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
「いっえ! とんでもありません!」と彼女は長い髪が揺れるくらい大きく首を振る。

「素直すぎるのも考えものだな。嘘をつく練習をしたほうがいい」

「例えばどうやって?」

「今日、おれのことを考えたか」

「……いいえ。嘘です、はい」

「いまの『いいえ』は嘘だと一発で分かった。次に。夕飯はちゃんと食べたか」

「はい。……じゃないや、いいえ」

「帰りが十二時過ぎてもちゃんと飯食わないと駄目だぞ。倒れるぞ」

「だって。太るもん……」

「倒れたら元も子もないだろう。第一、おまえは痩せてる。もうすこし太ったっていいくらいだ」

「太ったらそう言われなくなるんだよ。そんなの、やだもん。蒔田さんあたしがぷよっぷよになっちゃったら嫌いになるでしょう」

「ならない。まあ、おまえはそんな食い方をしないだろうと思うがな」

「蒔田さんこそ嘘つく練習しなさいよ」

「おまえ相手にそれはできん。寝るか。そろそろ」

「……切りたくない」

「困ったな。夢のなかでまた会えるか」

「会えるとは限らないじゃん」

「朝、メールする。おやすみ」

「……蒔田さんあたしの声聞いていたいって思わないの」
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