好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 * * *

 ぼたん雪の舞い散る長野の冬。

 彼女の父は、そんな雪とともに、騎士のごとく、全身白の格好で現れた。

「やあ。紘花」

 とても爽やかだ。

 その年には見えないといつも思う。若々しい。

「お父さん、迎えに来てくれてありがとう」彼女は片手を蒔田に向け、「こちらが、……こないだ会ったけど。蒔田さん」

「こんにちは」

「いや。遠いところをどうも……」頭を下げる父。蒔田と彼女のためであろう傘を差し出す。受け取る手つきのぎこちない蒔田。どうも、二人とも他人行儀だ。そりゃ仕方ない、他人だもの。

 どうやら、この場を仕切るのは彼女の役割のようだ。

「じゃあ、荷物後ろに入れるね」決意を固め、彼女は父に声をかける。後ろを振り返り、「蒔田さん、後ろ座って?」

「お邪魔します」蒔田は頭を下げ、運転席の後ろに座る。蒔田の長い手足だとこの軽自動車は窮屈そう。でも座ってもらうほか、あるまい。

 彼女は助手席に座る。

 車に乗り込んだ父が、フロントミラー越しに蒔田を見る。「蒔田くんは里澄は初めてだね。どこか、行きたいところはあるかい」
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