好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
「いえ、僕は」蒔田は外を見る。雪だ。どこへ行くにも不向きな気候だと思いつつ彼女は父に横目を送る。「お父さんご飯どうするの」

「寿司でも取ろうかと思っているんだが、どうだろう」

「あーあそこのだよね。うん、いいと思う。ならスーパー寄る必要ないよね。あ。お酒とか買う?」

「いつもの酒屋さんに一応寄ってこうと思ってはいるが」

「じゃあ、ちょっとお墓参りしてこうか。それでいい? 蒔田さん」

「ぼくは別に構わない」

「じゃあ決まり。お父さん、運転お願いします」


 * * *


「小さいころって世界が大きく感じられなかった? なんか、学校もでっかくて……」

「うん」

「あたし、ここの公園によく来たの。辛いことがあったときは必ず……、で、最後にお墓参りしてた。といっても手を合わせるだけだけど」

「うん」

「だからここに来ると昔のことが懐かしくなるの」と彼女は笑う。父は墓地の管理事務所に向かった。

 やけに時間がかかっていると彼女は思う。

 二人にする時間を与えてあげようと、きっと気を遣っているのだろう。

 しゃがみ、祈る彼女に蒔田が傘をさす。「あ、ありがとう」
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