好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!

閑話休題――蒔田一臣の苦悩

「そういうわけで、十一月に帰ることにした。もしかしたら、友人の家に泊まるかもしれない。うん。兄貴? 当分は、無理そうだな。稜子があの状態だから……うん。心配は心配だが病院と先生がついてる。周りにできることなど限られたもんだ。まあ、大丈夫だろう。……母さんも、からだに気をつけて。それじゃあ」

 自分から電話を切る。

 実家から離れてからのほうが、母親とうまく話せるようになった。

 共通の話題が増えた兄とその身重の妻のことなどタイムリーだ。

 物理的距離が開いたほうが、人間たちはうまく行くのかもしれない。

 けだし、恋人同士を除いて――彼は。

 キッチンに進み、おもむろに冷蔵庫からコーヒー豆を取り出し、計量して、コーヒーミルに入れた。作るのは一人分。一人暮らしを始めて八年が経つ。慣れたものだ。


『きみのことは部下としてしか見られない』


 我ながら下手くそな断り方だったと思う。

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