「帰りたくないんだろ」~好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!~
 変な男に声をかけられたり、追いかけられてコンビニに逃げ込んだこともあった。

 そんな心細いことがあるたび、彼女は一人で耐えていた。

 打ち明けると、多忙な彼に余計な心配をかけるだけだと、思ったから。

 父親などもってのほか。

 シングルファーザーで血の繋がりのない父には、そんなこと話せやしない。

「……知奈は、なんか、ついててやんないと、危なっかしいっていうか。知奈のことは、これからもおれが守っていきたいとそう、思っている……」
「……ごめんね。紘花」ずっと黙っていた親友が口を開く。「……駄目だって頭では分かってるんだけど、でも止められなくって、……相談しようにも、……そのね、勿論、身を引こうと思ったこともあるんだけど、でも、そうすればするほどドツボにはまるっていうか……」
「それで二人はこれからどうしたいの?」

 彼女は切り出す。と同時に、

(うんざりする)

 と内心、毒づいた。

 一見自分が会話の主導権を握っているようで、裏切られた自分が二人の結論を懇切丁寧に聞き出しているだけなのだ。
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