好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
act6. 回想
「誰だ。ここにメモを置いたやつは」
部屋の一角の空気が凍りついたのは気のせいではない。
彼の周囲の人間が、気まずそうに周りを見回すなか、彼女は名乗りを上げた。「あたしです」
蒔田と彼女の席は二メートルほど離れていたが、席を立ち、周囲を見回す蒔田の言動は周囲の目を引いた。声と言い方に刺があった。
彼の挙動自体が周囲の注目を集めるものなのかもしれない。
なにしろ、でかいから。
ともあれ、彼の雰囲気はいつも『固い』。
フレンドリーに握手してお礼してハグ、なんてアメリカンな挨拶とも無縁だろう。
蒔田は近づく彼女に目もくれず、机のうえのメモを手にし、音を立てて元の椅子に座った。「お客さんの名前、なんて読むんだ、これ」
「たーなーかーさーん、です」
読めねえよ。
と吐き捨てるように蒔田は言う。
「因みに、A社の田中さんは二人居る。田中大輔と田中裕次。部署名で呼び分けてる。……いっぺん、第三の田中さんからの電話、取り次いだことがあったろ。そんくらい一度で覚えとけ」
「……」
「返事は」
「……すみませんでした。字が汚くて」
「カタカナで書け。読む側が分かりやすい」
「……気をつけます」
部屋の一角の空気が凍りついたのは気のせいではない。
彼の周囲の人間が、気まずそうに周りを見回すなか、彼女は名乗りを上げた。「あたしです」
蒔田と彼女の席は二メートルほど離れていたが、席を立ち、周囲を見回す蒔田の言動は周囲の目を引いた。声と言い方に刺があった。
彼の挙動自体が周囲の注目を集めるものなのかもしれない。
なにしろ、でかいから。
ともあれ、彼の雰囲気はいつも『固い』。
フレンドリーに握手してお礼してハグ、なんてアメリカンな挨拶とも無縁だろう。
蒔田は近づく彼女に目もくれず、机のうえのメモを手にし、音を立てて元の椅子に座った。「お客さんの名前、なんて読むんだ、これ」
「たーなーかーさーん、です」
読めねえよ。
と吐き捨てるように蒔田は言う。
「因みに、A社の田中さんは二人居る。田中大輔と田中裕次。部署名で呼び分けてる。……いっぺん、第三の田中さんからの電話、取り次いだことがあったろ。そんくらい一度で覚えとけ」
「……」
「返事は」
「……すみませんでした。字が汚くて」
「カタカナで書け。読む側が分かりやすい」
「……気をつけます」