好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!

act10. 兄弟

『よかったら行ってみる? 因みに無料招待の日だからチケット代はかからないよ』

 彼女は、蒔田に失恋してからというものの、手当たり次第友人に連絡を取った。

『空白』の時間を作るのが怖かったのだ。

 部屋に一人きりになって誰かを憎む瞬間など、訪れて欲しくなかった。こうした感情に蓋をするには行動をするのがベストだ。

 じっとしていると人間は考える生き物だから。

 連絡を取った友人には大学時代の友人も含まれる。知奈や啓太の共通の友達も。別れたことなどいずれ知れ渡るだろうから彼女は自ら明かした。明かすことには当初抵抗感を伴ったが、一旦打ち明けてしまえば『あ、そうだったんだ』とやや気まずくも受け流される程度の、そんなものだった。

 気負いすぎるのはいつでも『事前』だ。事後は、『そんなものか』でいつも、終わる。
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