好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 取りつく気もないのだが、それにしても派手な格好は電車のなかで思いっきり浮いていた。

 因みに、ユニフォームにミニスカが友人のいつもの観戦スタイルなのだそうだ。

「いつもどこで見てるの? この辺?」と座席に座りながら紘花は彼女に尋ねる。
「ううん。あっち」指差す方向はいわゆる『ゴール裏』。ゴールネットの近くの席で、試合を見るにはベストポジションとは言い難いが熱く応援するには最適のエリアだ。見れば、観客席のなかをユニフォームを着た応援団らしきひとびとが沢山集まっている。

 太鼓なんか、使うんだ。

「ラッパ吹いたりしないの?」彼女は、数回だけしたことのある野球観戦を思い出しながら尋ねた。
「うちのサポは吹かないね。野球みたいに吹くのって一部のクラブサポだけだね」
「へーえ……」紘花たちが座ったのは、バックスタンドと呼ばれる、テレビ中継のようにサッカーグラウンドを横方向から眺められる席だ。友人曰く『初心者にオススメ』らしい。
 座席の傾斜は緩やかで、だが前のひとの頭が邪魔にならないように配置されている。
 見やすい、といった印象だった。
 芝のグラウンドを見るのもなんだか新鮮な体験だ。空気がいい。気持ちがいい。
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