好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!

 彼女は、うーんと伸びをした。

(こういうところに来るのっていつぶりだろう……)

 野球観戦は、隣の座席との間隔が狭くって、トイレに行くのも映画のときみたいにすみませんすみませんと頭下げまくりで、落ち着かなかった。

「トイレ、いまのうちに行っとこうか」
「うん」

 訊くまえに友人に誘われ、彼女は一旦席を離れた。

 * * *

「ね。なんで啓太と別れたか訊いてもいい? あんたたちすごくうまく行ってる感じだったのに」
「啓太、いま知奈とつき合ってる」
「はあ!? 知奈? ……知奈が……あー。そーゆーことか……」
「まあ、うまく行ってるみたいよ」
「うーん、……紘花。今日来てるやつ誰か紹介しようか?」
「……間に合ってる。好きなひと、あたし居るんだ」
「えっそうなの? ……やぁーだ、なーんだ、よかった」
「……ビール飲んだらトイレ近くなっちゃうかな」
「え? 一杯くらい平気じゃない? ハーフタイム五分前くらいに行けばそんな混まないよ」
「じゃあ頼んじゃおっかな」
「すいませーん。……生二つぅーっ」
 わざわざ座席にビールを売りに来る女性が居る。
< 70 / 270 >

この作品をシェア

pagetop