好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 初めてのサッカー観戦はいろいろとカルチャーショックだった。その後目撃するトイレの大行列。大声で歌う応援スタイル。応援団の中心に居る荒っぽそうな不良っぽいひとびと。とそれ以上に。

 榎原紘花にとってショッキングだったのが、登場した選手のひとりだった。

「蒔田、(いつき)……?」

 競技場のオーロラビジョンに大写しになるのはあの上司と生き写しの顔だった。

 双子の兄弟かと思ったくらいだ。

「ねえ、蒔田樹って」
「樹! 樹!」駄目だ。この友人は聞いちゃいない。それにしてもすごい熱気だ。オーロラビジョンに選手の顔写真が移され、選手の名前が呼ばれるたびにサポーターが選手の名前をコールする。これも応援の一種なのか。

 日本代表戦で、『ニッポン』とひたすら歌い続ける歌を聞いたことがある程度。

 熱い応援団とはそこそこ席が離れているはずだが結構声が聞こえる。風にのってこちらへと歌声が流れてくる。それに合わせて友人も歌うものだから彼女は、邪魔しちゃ悪いなと、観戦に集中することにした。
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