好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!

act12. 社会人と学生との違い

 蛇の生殺し状態。

 告白してからの、蒔田と彼女の関係を例えるならそれだ。

 押せば引く。追いかけようとすれば雲のように手のなかをすり抜けていく。そんなもどかしさを、彼女は、蒔田と接するたびに感じていた。

 わざと冷たい上司らしい態度を取っているような気が、……いや、気のせいではない。

 事実なのだ。

 告白する前は仕事中にちょっとした雑談もしていたが、この頃は、皆無。

 飲み会の席でも殆ど喋らない。元々蒔田は、寡黙な人間で、喋るといっても後輩から話しかけられれば返す程度。先輩に対しては聞き役に徹するタイプだ。

 だから、彼女より早く入社した人間であっても、蒔田の周りには、蒔田のことをよく知らない人間だらけなのかもしれない。

 彼女同様に。

 彼女は、ひょっとしたら、恋心など、一年もすれば淡雪のように消えてしまうかもしれないとも思っていた。物事に対し人間は期待もするが同時に悪い予測もする。悪い予測のほうが叶えばいいなどとは断じて思っていやしないが。

 でも違った。
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