好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 つき合っていた彼氏を恋しく思う気持ちよりも、目の前の上司に惹かれる気持ちのほうが、いつの間にか勝っているのだ。これは単に、会う頻度の違いに依るものなのか、彼女には判別がつかない。

 彼氏と毎日会うことは不可能なのだから。

 その足元の不確かさこそが、行動を鈍らせていた。

 見た感じ、蒔田が彼女を作った様子はない。例え、蒔田のプライベートを知らないにしても、それくらいは雰囲気で分かる。彼は相変わらず、一部で『鉄仮面』と呼ばれるようなポーカーフェイスと不遜な態度を会社で貫いていた。

 六月。四月に入社した新入社員が各部署に配属される時期を迎えた。彼女は引き続き、事業部の事務と蒔田のアシスタントの仕事を担当している。

 事業部に新人が配属されるすこし前のある日、紘花は上司の柏谷から呼び出される。

「端末管理の仕事を? ですか」
「そうだね。……この部署に慣れてもらうにもちょうどいいだろうと思ってね。引き継ぎ、頼めるかね」
「はい、分かりました」

 彼女は、担当している第三事業部のPC管理の仕事を、配属されたての新人に引き継ぐことになった。
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