好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 宗方さんはいつも怒ってばかりじゃないですか。

 彼女のこころでも読んだのか、蒔田が笑ってこっちを見ている。人差し指を立ててしぃーと。

「じゃ。柏谷さん、読んどいてください。明後日の提案資料です」
「読むものばっかでやんなっちゃうねえ」柏谷は肩に手を置き、その肩をぐるぐると回す。「さー仕事仕事」

 会話を切り上げる気配を感じ、彼女も柏谷のデスクを離れた。

 先を行く蒔田の背中。

 手が届きそうなのに遠い。

 もしもここが会社でなければ、追いすがって聞いてみたい。

 あたしの告白、覚えてますかと。

 でもそんなことが出来るはずないのだから、彼女は、蒔田が先を行くのを待って、距離をあけて歩くしかないのだ。

(やっぱ好きだなあ……)

 ほんのちょっと話しかけられただけで。

 気持ちが、ふんわり、あたたまる。

 正直な気持ちをかかえ、彼女は、席に戻りながら気持ちを仕事のそれにリセットした。

 表情に出さないようにする術も心得た。そう、社会人とは、


 仕事中に恋愛感情を出さない人種でもあるのだ。


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