好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 でもこの男はそれを許さない。「……迷惑、なんだよね。そーゆーふうに話しかけられるの」
「迷惑。……おれの存在意義超否定」
「切り札のカード持ってるふうな話し方するじゃんいつも。……なんかそういうの、やなの」
「そぉーおかぁ。でもおれ元々こんなんやし」
「水戸(みと)さんたちとは違うじゃん」
「営業部長の水戸さんにこんな話し方したらおれ本気でふっ飛ばされんぞ」かか、と桐沢は笑う。

 綺麗な名前をしている割に。

 屈託のない、話し方や笑い方をする男だ。
「なあ、今度の土曜紘花ちゃん空いてへん?」
「空いてない。空いてへんすこぶる忙しいの!」
「そっかあ。せっかくどっか出かけたいなぁ思うてんけど。しながわ水族館とか」
「なんで唐突に品川よ」
 かか、と桐沢は笑う。「おれ、紘花ちゃんの律儀に突っ込むとこごっつ好きやねん」
「突っ込む役割あたしは嫌いよ」
「そーゆークールに切り捨てるところもたまらんわぁ」
「……あたし。そろそろ戻る」

「ちょっと待ってやあ」

 彼女に影が落ちる。

 立ち塞がる桐沢。正面切って立つと、背の高さの違いに、男を感じる。
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