好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
 俯く。蒔田を見つめ返す勇気が持てない。

 要らない、期待をしてしまいそうだから。

「じゃあ、先に戻っている」

 彼女が顔を上げる前に、蒔田はその場を離れた。
 
 黒いスーツの男が細い通路を歩いて行く。

 彼女が顔をあげたときには、その見慣れた長身は座敷のなかへと消えていた。

(嬉しい、けれど……)

 同時に、弱みを見せてしまった後ろ暗い気持ちも残ったのだった。

 *
< 97 / 270 >

この作品をシェア

pagetop