治療不可能な恋をした
てっきりもっと悩むかと思っていたのだろう。思いのほかあっさりと返ってきた答えに拍子抜けしたように、理人は目を見開いた。
顔を上げた理人の表情には、驚きと、それ以上の喜びがにじんでいた。
「え、マジで?ほんとに?」
「うん……だって、そんな顔されたら帰れないよ」
「なに、どんな顔?」
「……寂しくてたまらないって顔?」
その言葉に、理人は軽く笑って、額をこつんとぶつけてくる。
「そりゃそうだろ。やっと、梨乃が振り向いてくれたんだから」
なあ、と理人がもう一度、梨乃を見つめる。
「……好きだよ、梨乃」
その言葉に、胸がじんわりと熱くなる。
「……つーか、このままここに住んでよ。そしたら帰さなくていいし」
理人の声は冗談めいていたけれど、その瞳はどこまでも本気のように見えた。
ただの気まぐれじゃない、言葉にしきれない願いが、抱き寄せる腕に込められているような気がした。
梨乃の肩に額を預けるようにそっと甘える仕草もどこか子どもっぽくて、でもずるいほどに愛おしかった。
「……ワンルームに大人二人は狭くない?」
「ずっとくっついてればそうでもねえだろ」
「逢坂くんってそんなキャラだったの?」
「ん。梨乃限定だけどな」