治療不可能な恋をした

「そっか……友達、か」

「うん。昔からの幼馴染でね……私も、何年ぶりかに会うんだ」

「……」

──幼馴染で、しかも何年も会っていない関係なら、さすがに邪魔するわけにはいかない。

そう理性では理解しながらも、胸の奥に残る残念さはどうしても消えなかった。

「分かった。……楽しんでこいよ」

少し低くなった声色に、梨乃が慌てたように口を開く。

「あの……!でも、日曜日は、なにも予定がなくて……」

恥ずかしそうに言い淀む梨乃の姿に、理人の表情がわずかに和らぐ。

「じゃあ、日曜は俺に時間もらえる?」

「う、うん」

返事を聞くと理人はそっと手を伸ばし、梨乃の指先に自分の指を重ねた。ためらいながらも、そっと絡めていく。

「……っ」

一瞬で梨乃の頬が淡く赤に染まり、視線が揺れる。その表情に、このまま手を引いて抱きしめたい衝動に駆られた。

(本当は土曜からずっと一緒にいたかったけど……仕方ないか)

理人はその想いを胸の奥にしまい込み、指先を一度だけきゅっと握った。そしてほんの少し機嫌を取り戻したように笑みを見せ、静かに頷く。

「じゃあ、またな」

梨乃が小さく頷く。指先がそっと離れ、二人は別々の方向へと歩き出した。
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