治療不可能な恋をした
「………でも…梨乃が好きなのが俺だけだって言ってくれんなら……なんかもう、それだけでいいや」
理人は呟いたあと、ふっと笑みを見せる。けれど体の奥でずっと疼いていた衝動だけは、もう止められなかった。
前のめりに体重をかけ、そのまま床へと押し倒す。
柔らかな絨毯に背中を預けた梨乃が驚いたように目を見開くのを構わず、目の前の唇を少しだけ乱暴に塞ぐ。
「んっ……は……り、理人…っ」
唇が離れた一瞬、たどたどしくも掠れた声で必死に呼ばれるその名前が、火に油を注ぐ。
──今、梨乃の瞳の中に映るのは自分だけ。心までもが、自分に向けられている。そんな彼女が、愛しい声で名前を呼んでくる。
それだけで、もう理人の中の理性はぎりぎりだった。
「……っ、梨乃、俺……」
震えるように縋りながら、梨乃の頬を撫で、唇を重ねるたびに熱が強くなる。
ここしばらくゆっくりと二人だけの時間を過ごせなかった寂しさ。胸の奥に残る幼馴染への微かな嫉妬。──その全部が、抑えきれない衝動に変わっていく。
「こんな男で……好きになりすぎて、ごめんな」
吐き出すように零し、答えも待たずに再び深く口づけを落とす。
「……ん……っ」
梨乃は最初こそ戸惑ったように身を強張らせていたが、やがて理人の背に両腕を回し、ぎこちなくも確かに抱き返してくる。
瞳を閉じた梨乃のすぐそばで、息づかいや体温が理人に直接伝わり、胸の奥を強く揺さぶる。
すべてを忘れ、互いの存在だけを感じる瞬間。
体と体、息と息が絡み合い、理性も時間も忘れ、二人だけの熱が部屋を満たしていった。