治療不可能な恋をした
(……まあ、なんか変わったやつではあるけど……)
理人はゆっくりと、梨乃と絢斗の交互に目を向けながら思考を巡らせる。
(聞いてた通り、ほんとに友人以上の空気はなさそうだな……)
そう思うとふっと肩の力を抜け、微かに安心した気持ちが胸の奥に広がるのを感じた。
それと同時に、絢斗がにこやかに笑いながら急に立ち上がる。
「あ、じゃあ俺はそろそろお暇します!次の予定があるもんで!」
そう言うと、手際よくテーブルの上の食器を片付ける。
「またな、梨乃!それに逢坂先生も!」
明るい声と軽やかな足取りで、絢斗は先にその場を颯爽と離れていった。
残された理人と梨乃は、どちらともなく視線を合わせ、そしてゆっくりと席に腰を落とす。
理人は背もたれに身を預け、どう切り出そうか迷いながら、「あー…」と間延びしたように声を漏らし、梨乃に話しかけた。
「……確かに、ただの友達だったな。というかなんか、弟みたいな」
梨乃は少しだけ眉を下げ、口元を緩めて言った。
「だから言ったでしょ」
理人はふっと口元を緩め、肩の力を抜く。
「うん。……変に疑ってごめん」