治療不可能な恋をした
絢斗が本当にただの友人だと分かって、逆に会えて良かったのかもしれない。そう思いながら、理人は梨乃に視線を流した。
梨乃が何か言うより先に、気になっていたことが口をついて出る。
「……俺が彼氏ってこと、ちゃんと話してたんだな」
声を落として問いかけると、梨乃は一瞬言葉を飲み込み、照れたように答えた。
「……この間の、食事会のとき……二人で会うのは良くないと思ったから、みんなに話して、お母さん達に来てもらったの」
「……みんなって……家族にも?」
一瞬だけぴたりと動きを止め迷うように視線を逸らした後、梨乃は小さくうなずいた。
「……だめ、だったかな…?」
梨乃は指先をいじりながら、恐る恐るこちらの表情をうかがってくる。その目には、わずかに不安がにじんでいた。──けれど。
(……マジか)
そんなの、言うまでもなく嬉しいに決まっている。
テーブルを挟んで向かい合ったまま、理人はそっと梨乃の手を取る。
「!?ちょっ……ここ病院…!」
「分かってる。けどちょっとだけ」
握った手の温もりに、愛しさがそっと込み上げてくる。
「……嬉しいよ。家族に俺とのこと、話してくれて」
素直な言葉を告げると、梨乃はほんのりと笑みを浮かべた。
「ほんと……?」
梨乃の言葉に、理人は軽く頷きを返す。