治療不可能な恋をした
声をあげた男子の一人を皮切りに、次々と声が飛んだ。
「今ちょうどお前の話してたんだよ。久しぶりだな〜」
「わあ!ほんとに仁科さんだ!」
「待って待って!ふたりで来たの!?」
「もしかしなくても、そういうことって捉えていいんだよね?」
その問いに、理人はにやりと笑うだけで言葉を返さなかった。代わりにあからさまに梨乃の肩に手を回し、軽く引き寄せる。
「……まあ、察しの通りで」
その短い肯定に、場が一気に弾けた。
「マジで!?やっとか〜!」
「よかったな、逢坂!」
「ほんとおめでとう〜!」
男女関係なく、あちこちから祝福の声が飛び交い、店内がさらに明るい笑いに包まれる。
(どうしてこんなに喜んでくれるんだろう?)
梨乃は思わず拍子抜けして呆けたように立ち尽くす。その横で理人が小さく笑い、「ほら、座ろう」と促すように背中を軽く押した。
梨乃は恐る恐る腰を下ろしたものの、まだ周囲の熱気に飲まれたままだった。向かいの席に座った女子が、にやにやしながら身を乗り出す。
「いや〜、ほんと長かったよね。結局さあ、理人って何年片想いしたの?」
からかいの混じる問いかけに、「おいおい、早速それ聞く?」と隣の男が笑いながら突っ込む。
けれど場の空気は完全に、理人が答えるのを待っている雰囲気だった。