治療不可能な恋をした
乾杯が終わると、グラスを片手にそれぞれが思い思いの会話を始める。
和やかな笑い声と食器の音が混ざり合う中、梨乃の周りには、理人と仲のよかった女友達数人が自然と集まってきていた。
「ねぇ、仁科さん」
先頭を切ったのは、グラスを持ったままにこやかに笑う女だった。
「どういう経緯でさ、理人と付き合おうってなったの?」
ひとりが勢いよく身を乗り出す。
「……えっ」
梨乃は思わず言葉を詰まらせ、手にしていたグラスを持ち直した。
「だって仁科さんって、昔は理人にぜんぜん興味なかったよね?」
「卒業したあとの理人、仁科さんにフラれたせいかしばらくヤケになってたしね」
「いつ意識しだしたの?きっかけは?気になる〜」
畳みかけるような質問に、梨乃は目を泳がせる。
「え、えっと……」
なんとか言葉を探そうとするが、答えるよりも先に、別の女子が楽しげに声を重ねた。
「てかさ、ぶっちゃけ理人のどこがよかったの?」
あまりに真っすぐな問いに、梨乃は思わず瞬きを繰り返す。
「顔?それとも性格?……って、性格はクセありすぎるか」
「だね。不器用通り越して拗らせてるし」
立て続けに飛んでくる言葉たちに、梨乃は拍子抜けした。
「不器用……?」