治療不可能な恋をした
その言葉が、いまいち腑に落ちなかった。
梨乃の知る理人は、むしろ周囲を明るくまとめる人間で、要領の悪さや不器用さとは無縁の人だったから。
「あんまり、そういう風に思ったことない、かも……」
正直に口にすると、女子たちは一様に「え?」と目を丸くする。
「理人は、いつも人に囲まれてて、患者にもスタッフにも頼られてて、外科医としてもすごく優秀だし……。むしろ人付き合いも上手くてなんでも器用にこなせてすごいなって、尊敬してて」
自分には到底持てない明るさや器用さを持つ人。だからこそ憧れて、眩しくて、気づけば目が離せなくなっていた。
(そういうところが……すごく好きで)
胸の奥がじんわり熱を帯び、頬を伝う熱が全身に広がるような感覚に、梨乃は息を止めたくなった。
梨乃の答えに女子たちは互いに顔を見合わせ、どっと笑いがおきた。
「あはは!仁科さん、超かわいい〜!めっちゃ恋する乙女!」
「私にもあったなあ〜!好きな人を美化して眩しく見えちゃう時代!」
「仁科さんには、理人がすごい良い男に映ってるんだね」