治療不可能な恋をした
梨乃は少し首を傾げ、目を丸くしてつぶやいた。
「美化……?」
梨乃は首を傾げ、目を丸くして周囲を見る。
梨乃にとって理人はどこまでも憧れの存在で、彼女たちの言う「美化」という言葉の意味が、まったく理解できなかった。
「そうだよ〜。だって理人ってヘタレじゃん」
一人がグラスをテーブルに置き、肘をつきながら当たり前のように言った。
「だね。あんだけ仁科さんのこと目で追ってて気持ちに気付かないのが、そもそもあり得ないし」
「どんだけ可愛い子に告られても『気乗りしない』って全部断ってたのにね」
「卒業パーティーのときもさあ、めっちゃ慌てて仁科さんの後追ってったし」
梨乃は思わず箸を止め、胸の奥がどんどん熱くなるのを感じた。
赤面が頬から首、耳にまで広がり、心臓は手のひらにまで響くかのように早鐘を打つ。背筋がじんわり熱くなり、体全体が理人を意識せずにはいられなかった。
(……そんなこと、全然、知らなかった……)
女子たちの楽しげな声に混じりながらも、梨乃の心臓だけがひときわ大きな音を立てていた。