治療不可能な恋をした
もし、毎日理人と一緒にいられたら。
朝、同じ空間で顔を合わせて、夜は自然に隣に座れる。
想像するだけで、心が少し熱くなる。頬が自然に赤みを帯び、手のひらに力が入る。
「……でも……まだ付き合ってそんなに経ってないし……」
思わず声に出そうとしても、言葉は小さく、心の中の動揺を隠すことはできなかった。
愛梨はそんな妹の様子を見逃さず、にこやかに微笑む。
「考えただけで嬉しそうな顔してるくせに?」
「う……」
梨乃は慌てて視線をそらし、並べたカップに目を落とす。しかし頭の中では、理人と一緒に過ごす未来を考えずにはいられなかった。
「梨乃にその気があるならさ、いっかい彼に話してみたら?」
思いがけない愛梨の提案に、梨乃は手を止める。ポットの中でコポコポとお湯が沸き立ち、白い湯気がゆらりと揺れる。
茶葉を量りながらも、胸の鼓動は落ち着かない。
(理人と一緒に住む……)
想像しただけで、ドキドキと胸が揺れ、茶こしを持つ手がわずかに震える。
けれど、不思議と嫌ではなかった。むしろ、その未来を思うたびに胸が膨らみ、息を整えるのが難しいほどだった。
お湯を注ぐと、ふわりと紅茶の香りが立ちのぼる。揺れる気持ちと一緒に、淡い期待が静かに芽吹いていった。