治療不可能な恋をした

その後はお茶を楽しみながら、和やかに会話が弾む。母は梨乃の子どもの頃の話や家族の近況を語り、父も軽口を交えながら笑い、梨乃の緊張も少しずつ解けていった。

そんな和やかな時間が流れる中、ふと玄関の方からドアの開く音と、慌ただしい足音が響いた。

「ただいまぁ〜!梨乃たちまだいるー?」

慌てた声とともに、愛梨の快活な声がリビングに広がる。

「え、お姉ちゃん?なんで?仕事はどうしたの?」

「予約が空いたから休憩中に抜けてきちゃった!梨乃の彼氏に一目でいいから会いたくって!」

明朗に笑う愛梨に、家族は一瞬きょとんとする。愛梨の視線が理人に留まり、目を輝かせて感嘆の声を上げる。

「うわっ、予想以上の超イケメン!梨乃ってばやるぅ!」

「お姉ちゃん!」

思わず顔を赤らめて叫ぶ梨乃。理人は照れたように微笑み、軽く頭を下げて挨拶を返す。

「愛梨ってば……」と母が呆れ、父が軽やかに笑う。

賑やかな姉に翻弄されながらも、その明るい声と仕草がリビングの空気をぱっと華やかにする。理人とは華やかで目立つタイプというのが似ているせいか、言葉少なでも自然と打ち解けた雰囲気が漂った。

部屋には家族の笑い声と、これから二人で歩む日々の温かい空気が、ゆったりと満ちていった。
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