治療不可能な恋をした
. . 𖥧 𖥧 𖧧
数時間後、実家での時間を終え、二人は家を後にした。
夏の夕暮れはまだ蒸し暑さを帯びていたが、そよぐ風がほんの少しだけ涼しさを運んでくる。西の空にはオレンジ色の光が残り、街路樹の影が道に長く伸びていた。
「お姉さん、面白い人だな」
理人は先ほどの愛梨の振る舞いを思い出しているのか、くすりと笑みをこぼしていた。
「うん、まあ……でも、尊敬するお姉ちゃんだよ」
梨乃も微笑み、どこか誇らしげに答えた。
「梨乃の顔見てたらわかるよ。お姉さんのこと、すごい好きなんだなって」
「そ、そう?なんか改めて言われると恥ずかしいね」
「姉妹仲がいいのはいい事じゃないか。あと話の流れでなんとなく思ったんだけど、愛梨さんってもしかして美容師?」
「うん、あたり。全国展開してる美容院のひとつで店長も兼任しててね、すごく人気の美容師なんだ。旦那さんがそのグループの代表で、ああ見えて忙しい立場なんだけど……私の髪はいつもお姉ちゃんが整えてくれるの」
そう言って、梨乃は自身の髪を軽くすくう。
「なるほど。だから梨乃の髪はいつも綺麗なんだな」
理人は軽く指先を動かし、梨乃の手に添えるように優しく触れてきた。
「え、えと……ありがとう」
梨乃は肩を小さく揺らし、吐息をひとつこぼす。理人の何気ない仕草に胸の鼓動が早まり、落ち着かないほどの熱が胸に広がっていた。
しばらく歩いたところで、理人が思い出したように口を開く。
「それにしても、湊さんって本当に日菜子さんのことが好きなんだな」
梨乃はちらりと理人を見上げ、軽く肩をすくめた。
「わかる?昔からあんな感じで……。ごめんね、初対面なのに恥ずかしいところ見せちゃって」
数時間後、実家での時間を終え、二人は家を後にした。
夏の夕暮れはまだ蒸し暑さを帯びていたが、そよぐ風がほんの少しだけ涼しさを運んでくる。西の空にはオレンジ色の光が残り、街路樹の影が道に長く伸びていた。
「お姉さん、面白い人だな」
理人は先ほどの愛梨の振る舞いを思い出しているのか、くすりと笑みをこぼしていた。
「うん、まあ……でも、尊敬するお姉ちゃんだよ」
梨乃も微笑み、どこか誇らしげに答えた。
「梨乃の顔見てたらわかるよ。お姉さんのこと、すごい好きなんだなって」
「そ、そう?なんか改めて言われると恥ずかしいね」
「姉妹仲がいいのはいい事じゃないか。あと話の流れでなんとなく思ったんだけど、愛梨さんってもしかして美容師?」
「うん、あたり。全国展開してる美容院のひとつで店長も兼任しててね、すごく人気の美容師なんだ。旦那さんがそのグループの代表で、ああ見えて忙しい立場なんだけど……私の髪はいつもお姉ちゃんが整えてくれるの」
そう言って、梨乃は自身の髪を軽くすくう。
「なるほど。だから梨乃の髪はいつも綺麗なんだな」
理人は軽く指先を動かし、梨乃の手に添えるように優しく触れてきた。
「え、えと……ありがとう」
梨乃は肩を小さく揺らし、吐息をひとつこぼす。理人の何気ない仕草に胸の鼓動が早まり、落ち着かないほどの熱が胸に広がっていた。
しばらく歩いたところで、理人が思い出したように口を開く。
「それにしても、湊さんって本当に日菜子さんのことが好きなんだな」
梨乃はちらりと理人を見上げ、軽く肩をすくめた。
「わかる?昔からあんな感じで……。ごめんね、初対面なのに恥ずかしいところ見せちゃって」