治療不可能な恋をした
(もう少しだけなら……いっか)
心の中で小さく折れると、理人の腕がますますきつくなる。まるで「逃がさない」と言わんばかりの抱擁に、胸の奥がくすぐったく揺れる。
静かな呼吸のリズムに、梨乃までも眠気が誘われていきそうになったそのとき。
(……ん?)
ふいに理人の手がシャツの裾からすべり込んできた。骨ばった掌が腹部を撫で、ゆっくり上へと這い上がっていく。
「っ!?ち、ちょっと、理人……!」
思わず体をよじるが、理人は眠たげな顔のまま、わざとらしくまぶたを重たそうに落としながら手を動かし続ける。
そのまま胸元にまで辿り着いた手が、柔らかな膨らみを撫でる。
「っ……や、ん……」
拒もうとした声が、不覚にも震えた。微かな痺れのような感覚が体中に広がり、余計に言葉が詰まる。
布の隙間から入り込んだ指先は、まるで弱い場所を知り尽くしているかのように確実な軌跡を描き、胸の中心を弄ぶ。
(……こ、これ……絶対寝ぼけてなんかないでしょ……!)
「り、理人……こらっ!」
思わず叱りつけても、理人は肩を揺らすだけで動きを止めない。
「ね、寝ぼけたふりしたって、だめだからね!」
抗議の声は、彼の掌に触れられるたびに甘く掠れていった。