治療不可能な恋をした
さらりと告げられ、さらに強く胸が鳴る。こんなふうにまっすぐ求められると、抗う言葉なんて浮かばない。
「……わ、わかったよ…」
小さく吐き出し、梨乃は観念したように顔を寄せた。そっと唇を重ねると、理人の表情がふわりと和らぐ。
けれど、触れ合っただけで離れようとした瞬間。
「なにそれ。なめてんの?」
不意に低く落ちた声に、梨乃は目を瞬く。理人は不満げに眉を寄せ、子どものように拗ねた顔をしていた。
「え?」
「ぜんっぜん足りねえから」
掠れるように囁かれ、次の瞬間にはぐいと抱き寄せられていた。驚きで声を上げる暇もなく、気づけば深く口づけを奪われていた。
「んっ……!」
抗議の声はそのまま飲み込まれる。深く絡めとられるような口づけに、体じゅうがじわじわと熱を帯びていく。
強引なはずなのに、どこか甘く、優しささえ混じったその感触に、梨乃の全身は抗うよりもとろけてしまいそうだった。
(……あたま、くらくらする……)
心の奥底まで触れられるようで、息が詰まりそうになる。けれど、不思議と心地よさの方が勝ってしまう。
思わず指先が理人のシャツをつかんで、彼の存在を確かめるように引き寄せていた。
やがて、唇が名残惜しそうに離れた。