治療不可能な恋をした
しかし、それからというもの、無言電話は断続的にかかってくるようになった。
着信があるたびに胸の奥がざわつき、息を詰める。電話の相手は名乗らず、ただ沈黙を投げつけるだけで、梨乃の心に小さな圧迫を重ねていった。
表面上は日常の穏やかさを保っているように見えても、無言電話のたびに心の奥の不安が少しずつ積み重なり、知らず知らずのうちに緊張感が日々を覆っていく。
もしかして──という予感はあった。
だが電話は毎回違う番号からかかり、拒否しても今度は非通知で鳴る。いたずらにしては執拗すぎる。
頭に浮かぶのは菜々美の名前だったが、証拠があるわけではなく、確信には至らない。
第一、彼女が自分の番号を知っているはずもない。
そのため理人に打ち明けることを迷っているうちにタイミング悪く自身の当直や理人の急な夜勤も重なってすれ違いが続き、また何日も過ぎていた。
それでも忙しい仕事に身を委ね無視を続けることで、わずかながら落ち着きを取り戻していた──そんな矢先のことだった。