治療不可能な恋をした
その言葉は、川沿いの並木道に静かに漂い、梨乃の胸にまっすぐ届く。
息をのむと、喉の奥から熱が湧き上がり、心臓の音が耳の奥に響き渡る。嬉しいはずなのに声はまったく出ず、言葉よりも先に心が震えていた。
しばし沈黙が流れ、風に揺れる木々の葉音だけが周囲を満たす。やがて、梨乃は小さく声を漏らした。
「……わ、私なんかでいいの?」
その問いに理人は即座に首を横に振る。声は静かだが力強く、ゆるぎない決意を感じさせた。
「“なんか”じゃない。俺にはお前しかいねぇ」
その言葉に、梨乃の胸はじんわりと熱くなり、瞳に涙がにじむ。これまで抑えてきた想いが一気に溢れ出す感覚に、胸の奥がぎゅっと締め付けられた。
込み上げた熱が全身に広がる。手元の小さな指輪ケースの重みを超え、理人の言葉ひとつひとつが心を満たしていく。
「大学の頃から、ずっと好きだった。けど、今はそれ以上に梨乃のことを愛してる。……だからこの先も一生、俺のそばにいてくれ」
理人の瞳は真剣そのもので、指輪の輝きに反射する光もまた、言葉の重みを際立たせる。
心臓がきゅうっと締め付けられるような幸福感に包まれ、涙が自然と頬を伝った。
「仁科梨乃のこれからの人生は、俺に守らせてほしい」