旧校舎のあの子
最近は自転車での見回りが多いようで、その顔はすっかり日焼けしていました。
「よぉ、なにかあったか?」
イトコは私の顔を見るなり破顔して、まるで子供にするみたいに少し乱暴に頭を撫でてきます。
イトコからすれば私はまだまだ子供なのでしょう。
私は乱れた髪の毛を手櫛で整えて、イトコが荷物を下すのを待ちました。

「あの廃院に誰かが出入りしているっていう噂があるんだって」
イトコが落ち着くのを待ってから切り出しました。
街のことを相談するのなら、警察官のイトコが一番だと思ったんです。
「廃院って、丘の上にある??病院か?」
「うん。誰かが窓の板をはがして中に入ってるのかも」
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