お淑やかでか弱いお姫様をお望みでしたら他をあたってください ~正体不明の元メイドは魔王様に自分を攫わせます~
『お姫様』は性に合わない
__ああ、面倒くさい。
煌びやかな城の大広間。
真っ白なウエディングドレスに身を包んだ私_エミリー・ホワイロットは、心の中で本日何度目かになるため息を吐いた。
目の前には、この国の第1王子が立っている。彼もまた白の正装に身を包み、緊張した面持ちで私を見つめていた。
「エミリー。綺麗だよ」
「ありがとうございます、ルーカス様」
1年前まで、私はただの城のメイドだった。しかし、第1王子であるルーカス様は私に一目惚れをし、あろうことか数多の王妃候補を捨てて私にプロポーズしてきたのだ。
しかもプロポーズは公衆の面前。第1王子のプロポーズを平民ごときが断ったら、あっという間に頭と体がおさらばしてしまうため、受け入れる他なかったのだ。まだ若いと言われる年齢。人生を終えるには早すぎる。
しかし、本当に迷惑極まりない。プロポーズを受け入れてから始まったのは、元王妃候補たちからの数えきれない嫌がらせ。さらには、苦しすぎる妬みや嫉妬の目。挙句の果てには、私が身体を使って王子を陥落させた、なんて気色の悪い噂まで立った。
悲劇のヒロインを自称する気はないが、これは悲劇だろう。
「では、ルーカス様。エミリー様に誓いの言葉を」
「ああ。…エミリー」
「はい、ルーカス様」
今から何を言われるのだろうか。どうでもいいけれど、早く終わってくれないかな。参列している王族、貴族からの視線がしんどすぎる。
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