断罪の鐘で永遠を誓う ~かつて攫われた王妃候補は、最愛の誘拐犯に会いに行く~
 結局、王太子からの愛の言葉は私が城を出るまで、ずっと続いた。
 紅茶を飲もうが中庭を散歩しようが、ずっと私を見つめて愛を囁かれ続ければ、流石に気分が悪くなる。王妃候補という立場であるため、定期的に城に宿泊しているのだが、わざわざ部屋まで送られるのは精神的にもしんどいものがある。

 ようやく自室に戻れたのは、寝るだけになった夜だった。自室に戻れた安心感と、王太子への苛立ちが混ざりあい、私は深々とため息をつく。

「もう寝よう。何もしたくない」

 両親への報告も寝る前までの支度も、全て終えた。あとは、ベッドに入って目を閉じるだけ。部屋の灯りを消してベッドに潜り込む。

「はぁ…寒い」

 今日の夜はそんなに冷えていないはずなのに、変に寒く感じる。ラドルと寝ていた時は、寒さを感じることなんて一度もなかったのに、人肌恋しくて仕方ない。

「ねぇラドル。私、もう17歳になったよ。あと3年で結婚できる年齢だよ」

 自分の左手の薬指には、何もない。
 王太子に贈られた指輪は、全てクローゼットに仕舞ったままだ。

「我が儘になった私を残して死ぬなんて、本当に酷い人ね」

 寒さのせいか、それとも違う何かのせいか分からないが異常に体が震える。
 このままでは寝られないため、厚着をするために一度ベッドから出て上着を羽織る。再びベッドに戻ろうかと踵を返した時、何となく窓が気になった。

 カーテンを少しだけ開けて夜の街を眺める。
 暗灰色の雲が空を覆っており、雨か季節外れの雪でも降りそうな空だ。しかしそれ以外に特筆したものは何もない。

 なぜ急に気になったのだろうか、と疑問に思いつつカーテンを閉める寸前、窓ガラスに反射して誰かと目が合った。
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