断罪の鐘で永遠を誓う ~かつて攫われた王妃候補は、最愛の誘拐犯に会いに行く~
「時間の無駄と言うならば、まずは私を王妃候補から外してください。王妃になる気はないと何度もお伝えしていますよね」
「ははっ、それは無理だ。俺はエレナのことを愛しているし本気で王妃にしたいと決めている」

 そんな言葉と共に頬を撫でられる。その手から、一刻も早く逃げたくてさっさと立ち上がる。話が通じないのなら、早く用件を済ませて帰ろう。

「急に立ってどうした?」
「お茶会をするのでしょう。案内してくださらないのですか?」

 私がそう言うと、王太子は嬉しそうに顔を綻ばせ、私の手を取った。

「もちろんだ。とっておきの場所を用意したから楽しみにしてくれ」

 王太子に連れられて来たのは、1番城の離れにある庭園だった。
 花や木々が美しく整えられているのが分かるが、何故か人の気配を一切感じない。

「ここは?」
「俺がエレナのために作らせたんだ」
「……は?」

 思わず素で返してしまう。そんな私を見て、王太子は嬉しそうに笑った。

「エレナに喜んでもらいたくてな。ここはエレナ専用の庭だよ」

 唖然とする私を椅子に座らせると、彼は向かいの席に座って口を開いた。

「愛しているよ、エレナ。俺は君の為だけに生きているんだ」

 大多数の女性が見惚れるに違いない彼の笑顔に、素直な嫌悪を抱く。


 __私の最愛の人を治療した上で処刑した王家の人間を、許せるはずがなかった。
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